「スタッフのコラム」を更新しました!(R5.8.24)

〇 「人が自立するために大切なことは?」

 

 親であれば、子どもに「自立して欲しい。」と思うことがあると思いますが、それはどのような状態をいうのでしょうか? 経済的に自分一人の収入で生活できるようになることでしょうか? それとも、身の回りのことができるようになることでしょうか?

 

児童精神科医であられた、佐々木正美先生はご著書の中でこのように綴られています。

 

~ 自立というのは、孤立して山の中で隠遁(いんとん)生活をすることではありません。社会のなかで、主体性と、そして協調性をもって暮らしていくことが「自立している」ということだと思うのです。(中略)

人に頼ることもあれば、頼られることもある。自分と相手の個性や、能力を考えながらバランスのとれた行動をとれるのが自立で、なんでもかんでも一人ですることが自立ではありません ~

 

とても深い言葉です。自分一人の力で成し遂げられたように感じることでも、自分の知らないところで沢山の方が関わっているということはよくあることです。そのことを理解し、周囲と仲良く過ごしていきながら、主体性をもって生きていくことが大切なのかもしれません。

そのためには、何が大切になってくるのでしょうか? 佐々木先生は、次のようにも述べられています。

 

~ 人との関係のなかで主体性をも発揮できることが自立です。そのためには、人を信じ、自分を信じることが必要です。(中略)子どもはまず無条件に受け入れられることによって、自分が本当に愛されていることを知り、その人を信頼し、自分自身の価値を実感し、そこからほかの人々を信じることができるようになります。 ~

 

“自己肯定感”という言葉を耳にすることがあるかと思いますが、それはありのままの自分を受け入れられるということです。自己肯定感の高い人は、他者にも優しく、ありのままを受け入れることができます。そのためには、周囲の人が肯定的な声かけをしたり一緒に遊んだり、本人が成功した体験を積み重ねていくことが大切です。たとえ勉強やスポーツが少し苦手でも、人として生きていく力を一緒に育んでいきたいですね。                                 阿部

 

 

【参考文献】 子どもの心の育て方  佐々木正美  株式会社河出書房新社