○マシュマロ 我慢できますか?

 

心理学の有名な実験に『マシュマロ・テスト』というものがあります。これは、スタンフォード大学で行われた45歳の子どもたちを対象とした実験で、子どもたちは机と椅子のある部屋に案内されます。机の上には一つのマシュマロが置いてあり、大人から「このマシュマロをあなたにあげます。もし15分食べるのを我慢できたらもう1つあげます。食べてしまったら2つ目はありません」と言われます。大人はそのまま部屋を出ていき、部屋には子どもと1つのマシュマロという状況に。子どもたちは言いつけ通りに我慢できるかもしくは誘惑に負けて食べてしまうのか、という『自制心』を見ていきます。

実験の様子の映像がネットに公開されているので、気になる方は調べてみて下さい。我慢している子どもたちがとても可愛らしいです。

 

この実験ではどのようなことが分かったのでしょうか。研究者は実験に参加した子どもたちの生活を1020年にわったて調査していきました。その結果、マシュマロを我慢できた子どもは、我慢できなかった子どもよりも、大学進学適性試験の成績がよく、社会的に成功する確率が高いことが分かりました。

つまり、自制心があるかどうかが、私達のその後の生活に影響を与えているということです。私たちは日々誘惑を我慢しながら、勉強や仕事に取り組んでいます。45歳からそのようなことをコントロールができる能力があれば、将来、社会的に成功するのも理解できます。ここまで読むと『自制心を育てれば、将来成功するのでは?』と思う人もいるかもしれません。ですが、それは少し違うようです。

 

この研究が発表された後、違う研究者が同じ方法で再び実験を行いました。そうしたところ、前述したものとは違う結果になりました。我慢できなかった子どもたちの多くが不安定な家庭環境で過ごしていることが分かり、将来の成功に影響を与えているのは、自制心ではなく家庭環境という結果になりました。自制心は安定した家庭環境で育った結果、獲得するものなのかもしれませんね。

 

飯髙